title:幻
material:木 × 金箔 × 映像 × 昆虫標本
2019.10.10
私たちは、抽象的な概念を理解するために、少しずつ具体化してきました。
自由は空を飛ぶ鳥に、恐怖は追いかけられる夢に姿を変えて。
神や仏、極楽や地獄、宇宙人——現実の向こう側にあるものを、想像力で描いてきたのです。
図像、言葉、数字、記号は、その向こう側を指し示すための道具にすぎません。
世界は本来、抽象そのものです。私たちの手に負えないその曖昧さに向かって、具象は静かにかたちを与えようとします。
つまり、具象とは抽象を内包するものなのです。この千手観音像もまた、その象徴です。
手の表情は、インドの「Numerical Hands」によって1から12を数え、時の流れを映しています。
時の流れは、静かに人の痛みを癒していくのです。